エピソード紹介♡8年越しの恋♡高校の先輩からのプロポーズ

エピソード紹介♡8年越しの恋♡高校の先輩からのプロポーズ

エピソード紹介♡8年越しの恋♡高校の先輩からのプロポーズ

九州の田舎にある高校に進学した私は、人生で初めて親元を離れ、寮暮らしに希望と憧れを抱いていた。

中学は鹿児島県のこれまた田舎で、地味に目立たず過ごしていたけど、建築を学ぶために必死になって受験勉強した甲斐があり大きな夢を抱いて農業高校の門を叩いたのだった。

( 友達できるかな… )

なんて不安はあったもののそこはさすが全寮制、すぐに周りに打ち解け、楽しい学校生活が始まった。

そして彼と出会ったのも、そんな高校生活の中だった。

「 ねぇ、きみ建築工学科だよね!?  お願いがあるんだけど、ちょっといいかな? 」

声の主は赤みがかった猫っ気をふんわりなびかせ、満面の笑みで私をみていた。

「え…っと、」

ジャージの色からして、上級生であることは一目で理解した。

( なんだこの人。部活の先輩意外と話すの初めてだし、男の人だし… )

全寮制とはいえ相手は男子生徒…しかも上級生となれば話は別だ。

いきなりのこと過ぎて言葉に詰まった私をよそに、先輩は「こっち来て!」と私の手を引いて走り出した。

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「先輩、あの…これは何でしょう。」

明らかにどこからか拾ってきたであろう廃材が数点、それと実習で使うノコギリやトンカチなどの工具が一式と、先輩の腕の中には一羽のうさぎ。

「こいつの小屋作ってほしいんだ!」

こいつとはおそらくうさぎであって、ということはうさぎ小屋を作るために声をかけられた、という解釈で間違いなさそうだ。

なぜ初対面の私に…と思いもしたが、腕の中のうさぎに微笑みかける先輩を見ていたら、 なんだか協力してもいっかなーなんて思ってしまった。

その日から部活の後は先輩と二人、実習室で小屋作りをする日々が続いた。

気付くと、一緒にいることが当たり前になっていた気がする。

出来上がった小屋は男子寮に設置する予定だそうで、小屋が完成した時点で先輩と私の繋がりはなくなってしまう。

「先輩、小屋完成したら、もうこうやって会うことなくなるね」

私は思わず、独り言のように呟いた。

先輩は少しの沈黙の後立ち上がり、私の頭に手を置いて

「男子寮と女子寮の間、非常階段の下で会おう。毎晩21時、消灯前な」

顔を逸らした先輩の耳が真っ赤に染まっていたのを、今でも忘れず覚えている。
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それから私と先輩の距離は急激に縮まった。

毎日10分に満たない時間を共有するために非常階段の下に集まり、肩が触れる距離で小声で話す。

テストの結果や先生の噂、部活仲間の話や、先輩の進路について…

先輩が関東にある大学に進学すると聞いたその日から、どんな顔して会えばいいか分からず、 非常階段下での「ソレ」は、毎日から三日に一回、週に一回・・と次第になくなっていった。

卒業式のその日、なんか気分が乗らなくて非常階段下でサボってた私の背後から、 聞き慣れた声が聞こえた。

振り向かずともその声の主が誰なのか、私にはわかる。

「…先輩。」

あの日と同じその光景に、時間が遡ったのかと錯覚するほどだった。

赤みがかったやわらかい猫っ毛をなびかせて佇む、泣きそうな顔の先輩。

「手、だして。」
指輪をはめるシーン
出典:http://xn--nckg3oobb4074dhym8kjbm2c1c2akfk.net/engagementring/435/
言われた通り両手を皿にして差し出すと、ぐっと左手を引かれた。その反動で 足元がフラツつき、先輩の胸に収まっていた。

瞬間、チリッとした痛みを感じて左手を見ると、 シルバーの石座に薄い水色の小さな石が乗った指輪がはめられていた。

「先輩これ・。」

「俺、迎えにくっから!!!」

言葉を遮るように、そして半ばぶっきらぼうに言い放たれた。 私の左手に収まった指輪。

そのチープな輝きに二人の未来を夢見ながら、私たちは離れ離れになった――――

「いやー、そう考えると俺あの頃からイケメンだわ」

ふにゃっと表情を崩して笑う先輩の顔は、8年経った今も変わらない。

その後建築学を学ぶという名目の元、無事上京した私と、 大学卒業後に関東で就職を決めた先輩。

どちらからともなく一緒に住みはじめた。

「そういえばプロポーズ! あの時の言葉呑気に信じてここまで来たけど、時効とか言わないですよね?」

すると「わがままだなぁ」と言わんばかりに私の手から懐かしい指輪を抜き取り、 小箱の中から見慣れない指輪を取り出して薬指にするりと通した。

無色透明、きらりと光る小さな石と、その隣に寄り添った薄い水色の石。
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「だって、俺が迎えにいく前に自分から追っかけてきたからー」

ちょっと拗ねたようないたずらっ子のような、そんな顔で私に近づき 鼻先にちゅっと優しくキスをした。

その後先輩は幾度となくプロポーズの言葉を口にしようとしてきたけど、 それを聞いてしまうと卒業式の日の言葉が消えてしまいそうだったから。

来春、地元九州で挙式予定だ。

勿論帰りには母校によって、私達をめぐり合わせたあの子に報告しようと思う。

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